[短編]One-Way Ticket

遠くでチャイムの音が聞こえた。オレンジ色の西日が白い病室を染める。


話し出したら私の口は止まらなかった。吐き出すように言葉を続ける。


「抵抗すら出来なかった…。私の身体はあいつらの思うがままっ……ただ怖くて…―怖くて。」


「私汚いの!
もう誰にも愛されない身体なの!

こんな身体消してしまいたい!…消えればいいのに」

仁の手が私の頭に置かれる。そして"ぽんぽん"と優しく撫でた。


「よく話してくれたよ。一人で抱えて…辛かったよな?もう、大丈夫だよ。

千香は汚れてなんかない。一人じゃないから。」


「な、そうだろ?那智。」


仁の言葉に私は顔を上げた。病室のドアの所に那智が立っている。


一瞬にして血の気がひいていくのがわかった。


聞かれた…


一番知られたくない人に…一番知られたくない事を…

「那…智…!」