[短編]One-Way Ticket

病室の窓から見る外は何だか別世界のように見える


沈みきった私の心と体には眩しいくらいだった。


あれから那智は病室に来ていない。


その方が楽でいい。
那智に会うと自分の汚さん知られそうで


怖い。


"コンコン"


「千香?いいか?」


仁が満面の笑みで病室に入ってきた。


仁はあれから毎日来ている。始めは嫌だったが


何も聞かずにただ笑って話している仁のお陰で気持ちは大分軽くなった。


一人でいたら、また同じ事を繰り返していただろう。

「気分はどうだ?」

「うん。大分良くなったよ。」

不思議と仁も那智の話をしなかった。


「ねぇ…聞かないの?自殺しようとした理由。」


本当はもう一人で抱えるのが限界だった。押し潰されそうな恐怖と自分の汚さに耐えられなかった。


「別に。千香が言いたくないなら言わなくていいし、聞かねーよ。」


仁の笑顔に大粒の涙が溢れた。


「私…私ね……レイプされたの……―」