「うん、待ってるよ。 ずっとずっと、待ってる……達哉だけを好きでいるから。」


「俺も、舞子だけを好きでいる」


もしかしたら、口だけかもしれないし、勢いで言っちゃっただけかもしれない。

でも、あたしは達哉を信じるよ。

たかが高校生のちっぽけな約束だけど、達哉なら、きっとあたしを幸せにしてくれるはず。そう信じていたいから。


「じゃあね、達哉…」


「またな」

ニッとはにかんだ達哉の顔を見ると、あたしも笑顔になれる。


すでに準備を終えていたお母さんとお父さんは、気をきかせたのか、車の中で待っててくれた。


「もう、いいの?」


「うん、大丈夫」


車に乗り込むと、やっぱり泣きそうになった。離れたくないと、改めて思う。

遠距離恋愛なんて、そんな器用なこと、あたしと達哉に出来るのかな?

達哉と離れた途端に、次々と不安がこみ上げてくる。


「舞子、またな」


二度目の「またな」が、開いていた窓から聞こえてきた。