「ん……」


唇を食べられてるみたい。

唇をペロッと舐められて、背筋がゾワッとした。


どこでこんなキス覚えてきたんだか…

可愛いくせして、随分大人っぽいキス。


「ふ……はぁ……」


あたしの唇に軽く吸い付いて、離れた。

息をつく間もなく再び、カプリ、と食べられてしまったあたしの唇。

食べ物だとでも思っているんだろうか?


軽く噛んだり、舐めたり。その度にあたしは息を乱すのに、達哉は慣れているようだった。


「ん……」


そんなキスを繰り返している内に、唇がジンジンとし始めた。痛いとか、そういう意味じゃなく、熱くなる感じ。


「顔真っ赤」


「うるさいなぁ…言われなくても気づいてるよ」


キスが終わったあと、おでこをくっつけてニッと笑う達哉。


「明日、俺見送り行くから」


「うん、待ってる」

泣きそうになった。

ギュッと痛いくらいに抱き締められて。あたしも達哉の背中に手を回した。

あたしを家まで送ってくれる達哉が、あたしのことを一番に好きだと言ってくれる達哉が、近くにいないなんて。


そんなの、考えたくない。


「舞子のこと傷つけるやつがいたら、俺に言って。俺、どこにいてもすぐに舞子のとこに行くから」


「何それ、ヒーローみたい(笑)」


「俺は舞子専属のヒーローなんだよ」


どこにいても、あたしを助けてくれる。

達哉はあたしの、あたしだけのヒーロー。