一つ、小さく溜め息をついた。


「お父さんの……転勤が決まったの」


目線を下に落としながら言う。


今、達哉どんな顔してるの?


ちょうど観覧車が頂上に達したとき、達哉はあたしから目を逸らした。


「……………」

何も言わない達哉。

当たり前だよね。


気づいてたとはいえ、急な話だもん。

あたしが逆の立場だったら、きっと信じられないし、何て言えばいいか分からなくなる。


「あたしもね、昨日転勤の話を聞いたの。結構遠い場所みたいなんだよね…」


残っても構わない、そう言っていた。


あたしだけ?

達哉と離れたくない、なんて。そんな理由で残るの?


「いつ…?」


再び小さく口を開いた達哉は、今にも消えてしまいそうな声でそう言った。

「クリスマスの、次の日」


26日だ。


あと、1週間しかない。