いつも同様、あたしを家まで送ってくれた達哉は、家の前で一度あたしをギュッと抱きしめた。


「明日、遊園地な」


「うん、分かってる」


じゃあな、と手を振って、今来た道とは逆の方向に歩き出した達哉。


その背中が見えなくなってから、家に入った。


「ただいまー」


いつもあたしが帰る時間にはない、お父さんの靴が玄関に並んでいた。珍しいな、こんな早い時間に……


それに、お母さんも"おかえり"って言ってくれない。聞こえてなかったのかな。


リビングには明かりが点いていて、ドアの隙間から見えたリビングには、お母さんもお父さんもいた。


見慣れない光景に少し戸惑いつつも、ドアを開けると二人がこっちを見た。


「おかえり、舞子」

いつもと変わらないお母さんの声に、少し安心した。


「どうしたのお父さん、今日は帰ってくるの早いね」