「また顔真っ赤になってるよ」
わざわざ言わなくてもね、自分でも分かってるんだよ。 顔熱いし。
「顔近い。それ、わざとでしょ」
わざと顔を近づけて、あたしの反応を楽しんでるんだ。照れるの分かってるくせに。
「うん、わざと」
そう言ってニッと笑った達哉は、顔をグッと近づけて
「ん…」
あたしの唇を意図も簡単に奪ってしまった。お互いの冷たい唇が、だんだんと温度を増していく。
キスをしている間に、ふと思い出したことがある。明日、11ヶ月目の記念日だ。
変な雰囲気のまま記念日を迎えなくてよかった。もう11ヶ月かー…。達哉と付き合ってそんなに月が経ってたなんて。
「はぁっ……」
ようやく唇が離れた。息は白くて、すぐに上に登っていった。
「明日、記念日だよな」
乱れた呼吸を整えているとき、達哉がポツリとそう言った。
「あぁ、達哉覚えてたんだね。忘れちゃってるのかと思った。」
嘘。達哉が記念日忘れたことなんて、なかったもんね。



