「いた……」


気持ちよさそうに寝ている舞子を見ると、だんだん気持ちが落ち着いてきた。よかった、まだ学校にいて。


ベッドの脇に椅子を持ってきて座ると、ギシッと音が鳴った。その音に反応したかのように、舞子が少しだけ声を上げた。


「ん……」


まだ目を瞑っている。寝ているのは分かっているけど、一瞬焦った。


起きたら、まず何から話そうか。


暖房のきいた保健室にいるからか、舞子の頬は少し赤く染まっている。触ってみれば、ほんのり熱を持っていた。


「ん……?」


小さく声を発した舞子が、目を開けた。蛍光灯からの光が眩しいのか、目を細めている。


そんなことを気にしている余裕はなくて、思わず立ち上がった。その拍子に、さっきまで座っていた椅子が、音を立てて倒れた。



「うわっ…」


「えっ…」


さすがにそんな大きな音がすれば、完全に目を覚ますだろう。ガバッと起き上がった舞子は、俺を見て目をパチパチさせていた。