空き教室に入った途端に、達哉は向井君に詰め寄る。


「神崎って誰。」


あたしが向井君に頼んだことなのに、何だか申し訳ない。


「広田、言っていい?」

小さく頷く。今更、隠すなんてことは出来ないだろうから、言うしかない。


「神崎ってのは、ここの学校の近くにあるS高のやつ。広田に………広田にメールしてきてるやつだ。」


少しだけ言うのを躊躇っていた向井君は、達哉から目をそらしながらそう言った。


「は、舞子にメール?」


1ヶ月前くらいから、しつこくメールしてくる人がいたのだか、あたしは"神崎"なんて人知らないし。

無視していた。

メールは今でも続いている。あたしは返信したことがないけどね。


「どこで知り合ったやつ?」


知り合った覚えもないし、アドレスを教えた覚えもない。顔さえ知らないのだ。


「あたしは名前しか知らないから。だから向井君に調べてもらってたの。」


さっき言ってた、S高っていうのも、初めて知った。


「S高のタメで、広田のアドはここの学校の誰かに聞いたらしいけど…」


誰だよ、勝手にアドレス教えたの。せめて本人に聞いてからにしてほしい。