達哉があたしの家に来た日から5日。今は昼休みで、お昼ご飯を食べている最中だった。


「舞子ー」


友達とご飯を食べているときに、達哉の声が教室内に響き渡った。

あたしを呼んだ達哉の隣には、達哉の友達の向井君もいた。


向井君というのは、達哉の中学からの友達で、見た目は至って普通な高校生。

向井健吾(ムカイケンゴ)


あたしも達哉を通じて友達になったのだが、向井君はほんとに頼りになる。


「何?」


「健吾が舞子に話したいことあるって。な、健吾。」


向井君には達哉に内緒で頼んでいたことがあるのだが、きっとそのことだろう。


ちょうど食べ終わった弁当箱を鞄にしまって、小走りで2人のところへ向かう。


「久しぶり、広田。頼まれてたの神崎ことなんだけどさ…」


……達哉にはまだ言ってないのにな。

今思いっきり"神崎"って言っちゃったよね。


「は? 神崎って誰?」


案の定、達哉は"神崎"という名前がでた瞬間に反応した。向井君は、しまった、というような表情。


「広田…もしかして達哉に言ってなかった感じ…?」

はい。もしかして、っていうか、当たりです。まだ、言ってません。


「なぁ、神崎って誰だよ」


とりあえず教室から離れなければと思い、向井君と一緒に達哉を教室から離れさせる。


「はぁ、俺のバカ」


ほんとに申し訳なさそうな顔であたしを見る向井君。何か、こっちまですいません、って感じ。