「中村、女子はな、理由がなくても好きな人とは喋ってたいもんなんや! ほんま、女心の分からん男やな」

必死に課題を写している杏は、中村には目もくれず、そう捲し立てた。


「俺、男やし」

「女心が分からん男はあかんで」


今回ばかりは杏の方が一枚上手だったみたいで、中村は少しだけ拗ねて黙り込んでしまった。

返す言葉が見つからなかったんだろう。


「なぁ舞子。電話、こっちからかけてみたらええやん」

「…向こうは忙しいかもしれへんし…」

もし忙しくて連絡できないのなら、今あたしが連絡するのは迷惑かもしれない。

「メールは?」

「あぁ、メールね」

そっか。

メールを送ればいいんだ。