「今親いないんだろ?」
そう言いながらも、手の動きは止まらない。
「いない…っ…けど…」
いないけどね、そういう問題?
「だったら、声我慢すんなよ」
再び悪戯っ子のように笑った。達哉は、あたしが、照れるって分かっててこんなこと言ってるんだ。
自分は余裕だからって、ズルい。
あたしばっかり照れてる。
「変態…」
「知ってる」
そんな達哉に流されてしまうあたしもあたしだけど。
久しぶりだし、いっか。なんて思って、キスをしようと目を瞑ったとき
――――ピンポーン
チャイムの音が聞こえたかと思えば
ガチャ。
とドアを開ける音が聞こえてきた。
「舞子ー!」
さっき聞いたばかりのその大きな声は、間違いなく杏の声で
「お前これ不法侵入言うんやぞ」
おまけに中村までいる。
こんなときに、空気の読めない2人だ。よりによって今来ちゃうなんて。
せめて1時間後とか。
「………何」
案の定、ヤる気満々だった達哉は怒ってる。中村がいるから、余計に怒ってる。
「はぁー、もう」
乱れた服をもとに戻して、ベッドから降りる。玄関までいくと、やっぱり2人がいた。



