「……それにしても、何が起きたんだよ…」

「最初からここに居たんじゃないのか?」

「違うって、俺はさっきまで図書室にいたんだ」

そう言うとヤヨイはわかっていないのか、小さく首を傾げた。
だが、そんなヤヨイを見て紫苑も首を傾げた。


「と…としょ…?なんだそれは?」

「え…?、図書室を知らないのか?お、お前年は!?」

「17だが…」

「17っ!?」

図書室を知らないことも驚きだが、自分よりも年上ということに更に驚きを感じた。
見た目からしては、年は同じぐらいかと思っていたのだ。


「と、年上だったのか…ん?尚更おかしいだろ!?」

「なにがだ?」

「17ってことは高三だろ?知らないはずないじゃないか!!」

「コウサン…?」

ヤヨイの頭には大量の?が見えた。
どうやら本当にわかっていないらしく、紫苑は本格的に頭を抱え始めた。


「さっきから何を言ってるんだ…?」

「いや…、それは俺の台詞なんだが…」

とりあえず思考をふる回転させて考え始めた。
だが、考えても考えても疑問しか頭の中に出てこなかった。


「……ま、まずだな…ここはどこだ?」

「フレシアの森だと言ってるが」

「百歩譲ってフレシアの森だとしよう。じゃあ、日本と言う国かここは?」

「にほ…?いや、違う」

ここまでの段階で紫苑は早くも心が折れそうだった。
呑気に寝ている莎羅を妬ましそうに見ていたが、すぐにヤヨイの方を見た。


「…わかった。日本じゃないんだな?…じゃあ、どこなんだよー!!!」

紫苑の叫びは山びこのように森の中に響いて言った。
そう叫んだ後に、ヤヨイの肩を掴んだ。


「どうすればいいんだよ!!ヤヨイ!!」

「い、いや…俺にはわからないんだが…」

「じゃあ誰に聞けってんだよー!!」

ヤヨイの体を揺らしながら問い詰める。
そんな紫苑にヤヨイは制止の言葉をかけるが、紫苑は聞く耳を持たなかった。


「んー…、ふぁ~…あれ?紫苑おはよー」

空気を読まない、読もうとしない莎羅が目を覚ました。
そんな莎羅を見て、ヤヨイと紫苑は一緒になって目を点にした。