――と、…くん
――とく、ん…
――とくん…
―俺の心臓の音…?
確か、莎羅と図書室に本の整理に行って…
それで、そうだ…タイトルがない本を見つけて…
莎羅と一緒に見ていたら、文章が途切れている部分があって…
それから、本が光ったんだよな…
莎羅は…?莎羅はどうした…?ダメだ…力が入らない…。
「――――ろ…!!」
………誰だ…?
「―――か……ろ…!!」
聞こえない…
「――しっかりしろ!!!」
パチッ…
ゴンッ!!
「~~~~っ?!?!?」
「……てぇ…!!」
大きな声で呼ばれ、慌てたように体を起こした。
だが、勢いがありすぎて誰かにぶつかってしまった。
あまりの痛さに、頭を抱えたがすぐにぶつかった相手の方を見た。
――日の光に当てられて輝く黄金色の髪
――色白い肌には白い包帯が巻かれていた
――しかし一番惹かれたのは透き通る黄金色の瞳だ
「わ、悪い…だ、大丈夫か?」
「あ、ああ…お前こそ大丈夫か?」
「え…?あ…え、だ、大丈夫…」
心配そうに顔を覗きこまれ、少したじろぎながら後ろに後ずさった。
だが下に手をついた感触ですぐに周りを見た。
周りは木々や草花で囲まれていて、近くには大きな湖があった。
「も、森ぃ!?な、なんだよここ…!!」
「『フレシアの森』、知らないのか?」
「フ、フレシア…?」
「ああ、毒の森(ポイズンフォレスト)の中でも危険地域だ。知らないのか?」
キョトンとした顔で見つめられ一瞬ドキッとしたが、すぐに慌てたように思考を切り替えた。
「ま、まってくれ…、じゃ、じゃあ…莎羅を知らないか?」
「……サ、…ラ?」
「俺と同じぐらいの年ぐらいの黄緑の髪した女の子なんだが…」
「その子なら…、君の隣で寝てるが…」
そう言われ隣を見たら、案の定莎羅がぐっすりと寝ていた。
そんな莎羅にガックリと肩を落としたが、すぐに苦笑いを溢した。
「よかった…、…えっと…貴方は…?」
「俺か…?俺はヤヨイ、ヤヨイ・クロードルだ」
「ヤヨイ…か、俺は白來紫苑だ。よろしくな」
小さく微笑みながら言うと、ヤヨイも優しく微笑み返した。
そして、落ち着いたように辺りをゆっくり見渡した。