ガララ…

「うわぁ、誰もいないなぁ…」

「放課後だしな…」

静かすぎる図書室に軽く違和感を覚えながら、整理を頼まれた奥の部屋へと足を進めた。

埃を微かに被っているドアノブを捻り、部屋の中へと入っていった。


「ケホケホッ…埃っぽい…!!」

「先生もこんなとこ整理に頼むなよ…」

どうやら随分と長い時間使われていなかったのか、本も机も埃を被っていた。
軽くそんな部屋を見てやる気をなくしたが、部活に行くためにやる気をおこした。


「とりあえず、一つ一つ埃を落として行くか…」

「…はーい」

紫苑に言われ、一つの本を手に取ると丁寧に埃を落とした。
だが、埃を沢山被っているためかなかなか落ちてくれなかった。


「うー…、埃がー…」

「ケホッ…確かに…、窓がないからな…」

紫苑はそう言うと辺りを見渡しだした。
辺りは電気はついているようだが、薄暗く埃が舞っていて見にくくなっていた。
唯一の空気の入れ換え場所の入口も開けているが、あまり変わりようがなかった。


「んー…、ん?何コレ…?」

「どうしたんだ…?」

「タイトルがない本があるの」

莎羅はそう言うと紫苑にタイトルがない本を差し出した。
紫苑をそれを受け取るとじっくりと眺めた。
他の本と比べあまり埃を被っていなく、真新しかった。漆黒の何の模様も入っていない無地だったが、なぜか惹き付けられる魅了を感じた。


「なんの本かな?」

「わからない…、少し見てみるか…」

「うん!!」

二人揃って壁にもたれかかり、本を開いた。
本には目次もなく最初は真っ白なページが広がっていた。
そして、1ページ…2ページとゆっくり捲り始めた。


「【この世界は全て魔法で成り立っていた。
中には12人の騎士がいた。その騎士はある4人の神の元に仕えていた。】……ファンタジー小説か…?」

長々しい文章を読みながら、考えていた。
横から、莎羅も覗きこみながら見ていた。


「あれ…?、ねぇ?ここで文字が途切れてるよ?」

「えっと…【世界を救った神達は力を使い果たし、4つの宝珠に封印され…】…ここできれてる…―――っ!?」

「わっ!?」

その文章を読み終わると同時にその本が輝き始めた。
紫苑と莎羅はあまりの眩しさに目を閉じた。
輝きがおさまると、そこには本以外誰もいなかった。