「…部活だー!!」
チャイムと同時に叫ぶ莎羅を見て、クラスの皆はクスクスと笑いだした。
そんな皆にあわせて、莎羅も笑いだした。
クラスの皆が穏やかな雰囲気になる中、紫苑は真剣な顔で携帯を見ていた。
「(これで朝のメールをあわせて6件か…)」
8:00から始まり
――9:00に伍
――10:00に肆
――11:00に参
――12:00に弐
――13:00に壱
一時間事に送られ、ぴったしの時間に送られて来たのだ。
もちろん、莎羅も同じ風に送られていた。
差出人は未だにわからないが、ただわかるのはカウントダウンということだ。
「……しおーん!!」
「……あ、悪い。どうした?」
余程考え込んでいたらしく、莎羅は少しだけ不貞腐れていた。
そんな莎羅に少し罪悪感を覚えたが、すぐに答えるように帰りの準備を始めた。
「…別にいいけど、どーせ何か考えてたんでしょ?」
「ご名答、よくわかったな」
「親友の考えてることぐらい、わかりますー」
小さく口元を緩めながら、莎羅の方を見た。
莎羅本人は頬を膨らませながら紫苑を見ていたが、すぐに何を思ったのか少しがっかりした顔になった。
「どうしたんだよ?」
「折角早く終わっのに、先生に整理頼まれたー」
「………図書室?」
「当たり」
部活部活と嘆く莎羅を見て、紫苑は肩を竦めた。
部活大好きな莎羅にとって、部活時間を削られるのが何よりも苦痛なのだ。
そんな莎羅のことをよく知るためか、鞄を持ち先生に何かを伝え教室を出ようとした。
「え!?どこに行くの!?」
「整理、頼まれたんだろ?」
「―――え…?」
「俺も手伝うから、早く終わらせようぜ?」
さもあたり前のように言う紫苑にきょとんとするが、徐々に明るい笑顔へと変わっていった。
そして笑顔のまま、紫苑に抱きついた。
「ありがと!!紫苑大好き!!」
「ん、俺達親友だからな」
笑顔を向けられ、ぎこちないが小さな笑顔を向け返した。
莎羅は紫苑の手を掴み、軽く走りながら図書室に向かった。
「どこを整理するんだ?」
「確かー…、奥の部屋だったっけ…」
「あー…、あそこか…」
軽くため息をつきながら、図書室に向かった。
莎羅もやる気がでないのか、少し疲れた顔をしていた。