じっとそのメールを見ていたら、いつの間にか時間が過ぎていた。
ゆっくりと顔をあげると、皆は席を外していて莎羅も此方側に来た。


「しーおーん?、ずっと下の方見てたでしょ?」

「なんでわかるんだ…?」

「だって先生が呼んでも、全然前向かなかったんだもん。呼び出しくらっちゃうよ?」

そう言いながらクスクスと笑いだした。
そんな莎羅に軽く呆れながら、次の授業の用意を出した。
それと同時に着メロが鳴り出した。
莎羅と同じタイミングで鳴り出したのだ。


「えぇ!?同じタイミング!?」

「…逆に恐ろしいな」

「確かに…、とりあえずメールの内容を見るね」

莎羅の言葉と共に、紫苑もメールの内容を見始めた。
そこには朝来たメールと同じく、簡潔で漢字で書かれた文字が1つあった。

``伍''

まるでタイミングを見計らったように来たのが、9:00だった。


「今度は伍ー?、何コレ…カウントダウンなの?」

「わからないが…、もしかしたらそうかもしれない…」

「だからって、なんで6からなの?普通は5じゃない?」

「俺に言うなよ、…わかるわけないだろ?」

軽く苦笑いを溢しながら、送られたメールを見た。
朝来たメールと同じ位置に書いてあり、唯一違うのは数字の数だった。


「むー…、なんなのよコレーっ!!」

「叫ぶな、耳が痛くなる…」

「これが叫ばずにいられるかぁーっ!!」

教室が騒がしかった為か、あまり目立たなかったが十分大きかった。
さりげなく、耳を押さえて半場無理矢理に携帯をマナーモードにし制服のポケットの中につっこんだ。


「ほら、先生が来る前に席につけ」

「クラス委員長ですか」

「いや、体育委員長だ」

「…マジで答えなくてもいいのに…」

少しマジな顔をした紫苑を見て、口元がひきつるが時計を見て慌てたように自分の席に戻った。
そんな莎羅の様子を、微かに笑みを浮かべながら見ていた。










「―――……であるからにして…」

長い先生の話が始まった。莎羅は一生懸命眠気と格闘しているためか、カクンカクンと何度も沈みかけた。


「(あーあ…、あれじゃあすぐ寝るだろうな…)」

その様子を観察しながら、とっていないであろう莎羅のノートを写し始めた。