「禁断魔法――堕天神の門番(ルーチェ・オブ・ゲート)を使っての」

「堕…天神の(ルーチェ・オブ)…」

「門…番(ゲート)…?」

小さく首を傾げる紫苑と莎羅。
長老はさらに続けて口を開いた。


「儂がお主達を呼んだのは他でもない。――この世界を救ってもらうためじゃ」

「救う…、どうして?」

よくわからないと言った
表情を浮かべると、長老はゆっくりと手を翳した。
そこから大きなスクリーンが表れた。



「――この世界は4つの神により創られた。


勇ましき気を持ち、愛の情を与える太陽の神
【サイアニア】

友を信じる情を持ち、信を貫く月光の神
【ルェリアス】

優しき想いやりを持ち、包容する闇夜の神
【ブラストラ】

希望を与える気を持ち、光で守りぬく天空の神
【フィリーナ】


だが、この4つの神と対立する神が居たのじゃ」

「対立する神…、つまり真逆の神…か?」

紫苑の的を射た言葉を聞いて、長老は頷いた。

そして悲しそうな顔をしたまま、スクリーンの映像が変わった。


「その邪悪の神のせいでこの世界の神は封印されてしまった…。


――お前達はその神の生まれ変わりじゃ」


長老の衝撃の言葉に、紫苑…そして莎羅は大きく目を見開いた。

それはそうだ…。
いきなりこの世界の神だと言われて、驚かない筈がない。

「………ちょ、ちょっと待てよ!神の生まれ変わりって…、馬鹿なこと言うなよ!」

「そうだよ…、私達が生まれ変わりなんて…そんな…っ…」

混乱が混乱を巻き、2人はどうしたらいいのかわからなくなった。

そんな2人を他所に、さらに混乱を招くような行動が目に入った。


「――…頼む!この世界を救ってくれ…っ…!」


長老は2人の女に向かって、土下座をした。
ヤヨイやロウィが慕うと言うことは偉い人だ。

そんな人が、今目の前で自分達に土下座をしているんだ。
驚かない筈がない。

「土下座!?え、ちょっ…え!?」

「お、おい!馬鹿!何してるんだよ!!」


「………頼むっ…」

土下座を辞めない長老に、さらに慌てる2人。
どうしていいのかわからない表情をしている莎羅と、今すぐにでも辞めて欲しいと思う紫苑。


とりあえず、頷くしか選択肢がないと判断した。