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「よく来たな。ヤヨイ・クロードル、ロウィ・グラディード」
どうやら大きな場所に出たようだ。
真ん中には魔方陣が描かれおり、そこには漆黒に身を包んだ男がいた。
「はい。どの様な用でありますか、長老」
「(長老…!?コイツが…?)」
「(お、おじいさんだね…)」
どうやらこの人が長老らしく、ヤヨイとロウィは背筋をピシリとしていた。
そんな2人を見て、莎羅と紫苑はおずおずと後ろに下がっていた。
「実はの…。後ろにいる娘達に用があって呼んだのじゃ」
その言葉にヤヨイ、そして莎羅と紫苑は驚いたように目を見開いた。
ロウィは小さく首を傾げてその様子を見ていた。
「赤神莎羅、そして白來紫苑。お前達は異世界から来た、――そうじゃろ?」
「…確かに俺と莎羅は異世界から来た。けど、なぜお前が知ってるんだ!!」
年上相手にいつもと変わらない口調で話す紫苑に、莎羅は少なからず慌てた。
ヤヨイとロウィも、紫苑の態度に反応を示した。
「…ちょ、ちょっと…。相手は年上だよ?いくらなんでも…」
「年上年下関係ない。――俺達のことを知ってるのはヤヨイだけだ。怪しすぎるだろ、コイツ」
警戒心を全く解こうとしない紫苑に、莎羅はどうしていいのかわからなくなっていた。
だが、そんな莎羅の気持ちを知ってのことなのか、長老が口を開いた。
「フォッフォッフォッ。異界の住人は威勢がいいのぉ。―今から、お前達に話すことがある。ヤヨイ、ロウィ…下がってよいぞ」
「――はっ」
「――はい」
長老の言葉に素早く反応したヤヨイとロウィは、すぐさま下がろうとした。
ヤヨイは莎羅と紫苑の様子を一度確認した後に、ここを後にした。
「――では、まず…なぜ儂がお前達のことを知ってるかと言うことから話そうか」
「ああ。そうだな…。話してもらおうか」
ヤヨイとロウィが立ち去った方を振り返ると、すぐさま長老の方に視線を向けた。
「理由は簡単じゃよ。――儂がお前達を呼んだのだから」
「―――っ!!?」
「嘘……」
長老の言葉に紫苑は驚いた顔をし、莎羅は信じられないという顔をした。
そしてそんな2人の反応にさらに追い討ちをかける形で、長老は口を開いた。