「ほら!!言ったんだから名前教えてよ!!」

「あ、ああ…。紫苑だ…」

「シオンね。しっかり覚えとくよ!!」

ニッと笑うと未だに不機嫌な顔をするヤヨイに視線を向けた。

「まったく。そんなムスッとしないでよ」

「黙れ。貴様が来ると面倒なことになるんだ」

「相変わらずなんだから」

特に気にすることもなく、ケラケラとしていた。
そんなロウィを見て、さらに不機嫌そうな顔をした。

「あ、あのー…ヤヨイ君とロウィさんはどんな関係なんですか…?」

「あたしとヤヨイ?ふふーん、夫婦だよ?」

「えぇっ!?!?」

ロウィの言葉に莎羅は驚いた顔をした。
紫苑も例外ではなく、ポカンとした顔をしていた。


「違う。俺はロウィとはただ幼馴染みで許嫁だ」

「へ…?夫婦じゃなくて、許嫁…?幼馴染み?」

「もうつれないなぁ。ノってくれてもいいじゃない」

「貴様のような女と一緒になるつもりはない」

きっぱりと言うヤヨイに、軽くむくれながらもすぐに笑みを見せた。
そして紫苑に近づき、耳元に顔を寄せた。


「ああ言ってるけど、本当はスッゴく優しいの」

「あ…、そ…うなのか?」

「うん。素直じゃないだけ」

ウインクをして見せると、紫苑は軽く苦笑いを溢した。
そしてロウィはヤヨイに向き合った。

「一応用があって来たの」

「だったらその用件を早く言え」

「せっかちだよねぇ。…――長老が呼んでる」

ロウィのその言葉にヤヨイは目を見開いた。
そしてロウィはその姿を確認すると莎羅と紫苑に向かって、手招きをした。

「早く来て欲しいみたいだから、アンタ達も連れてくわ」

「ロウィ!!そいつらは…!!」

「どうせ近くの町に連れてくんでしょ?だったら、``ソルディア''に連れてった方がいいでしょ」

口を挟むヤヨイに向かってピシャリと言うロウィに対し、ヤヨイは慌てた様子を見せた。
そんなヤヨイを無視して、莎羅と紫苑を近くに寄せた。


「とりあえずちゃっちゃとあたしの``瞬間移動(テレポート)''でソルディアに行くよ」

「テレ…ポート…?」

「ほら!!ヤヨイもこっちに来なさいよ」

ロウィの言葉に、ヤヨイは渋りながらもロウィに近づいた。
そしてそれを確認すると、ロウィは息を軽く吸った。



「``瞬間移動(テレポート)''っ!!!」