深い深い闇の奥から小さなぼやけた光が見えて来た。


んんっ・・・


誰かの声・・・・・・?


何かしら・・・


感じる温もり



声は光の射す方から


静かに瞼を開く。


・・・・・・目の前に浮かび上がるスクリーン

物語は王子さまのキスで目覚めたお姫様の姿があった。



・・・私・・・・・・今まで・・・どうしてたの?



「お目覚めですか、お嬢さん」


「館長さん!!」


自分でも驚くくらいの大きな声をあげてしまった。


「最後までお付き合い頂きありがとうございました。
では、お別れです」


「ちょっと、待って!
お別れって・・・・・・私は何処へ行けばいいの?」


「あなたが本当に目覚める場所は、あなたを待っていてくれる人達の所です」




・・・・・・私を待っている人達・・・



館長さんは私の前に立ち、額に手をかざした。


スーッと体が浮くような感覚を感じた。



そして最後に・・・



・・・サヨナラ、眠り姫・・・・・・




渦の中へ引き込まれていく。


幻想館も砂のようにあっという間に崩れていった。


私は手を伸ばし、何かを必死で掴もうとした。



やがて・・・・・・


私の手は少しずつふんわりと包み込まれていく・・・・・・


・・・薄れていく意識・・・・・・