だから、少し面白くて、
「…何の本を探してるの?」
何て声を掛けてしまった。
彼女は俺の名前を知っていた。
俺は知らないのに。
アイツが「離してっ」って言いながらジダバタしてるのを見て、面白いやつだ、と思った。
それに、にこってした顔に反応しないなんて、初めてだ。
抱きしめた時、「こんなの初めて?」って聞いたら、顔真っ赤にしてさ。
その顔が、すごく可愛いと思った。
…一生懸命俺から逃げようとしている所が可愛くて。
って俺は変態か。
そう思っていたら、アイツが俺から逃げ出して図書室から急いで出ていった。
…またアイツはここに来るだろうか。
あ、アイツの名前、聞いてなかったな…聞いとけば良かった。