―…

外から見えた赤い炎に絶句した。

燃えている。

近所の大学の学生寮。

火の粉は風に乗って何処かへ飛んでいく。

外に出て、その場所の近くに行くと、既に消防車と救急車が到着していた。

手ぶらで火傷をした学生が震えている。

「これで全員ですか?」

と消防士の声が聞こえた。

「いえ…。」

一人の学生が答える。

「俺の友達が…火元の部屋の友達が…、いない、です…。」

その声を合図にするかのように、火の勢いが増して、いくつかのガラスが割れた。

「サヨナラ―…。」

意味深げな声が耳鳴りのように聞こえた。