「じゃあね」

きみはそう言って歩きだした。

私はただ背中を見つめるしかできなくて…

泣いて追いかけたりなんてできなくて、

名前を叫ぶこともできなくて…



"さよなら"も言えなかった。


強く強く、風は私の髪を揺らす。


強く強く強く、風は桜の花びらを散らしてゆく。


にじんだ世界はあまりにもせつなかった。