たとえ馬鹿でも、愚かでも

え、何で。

何でこの人傘もさしてないのに、立ち止まってるの!?


その人はこの雨の中、道路の真ん中でだだ空をぼーっと眺めているだけだった。


怖っ、さっさと立ち去ろうっと。


やや早足にその人の横を通り過ぎようとしたときだった。


「……っ」


腕を掴まれた。


さぁーっと血が冷めていくのがわかる。