その人は悪魔だと言われていた。


夜の繁華街の闇に溶け込む悪魔だと。


平気で人を欺き、安易に陥れる。


氷点下の心を持つとても恐ろしい人だと。


そんなだいぶ前に誰かから聞いた話を親友の大和(やまと)から再度聞かされる。


「だから、お前もうあんな危ない時間に行くんじゃねぇぞ」


諭すように大和は言う。