たとえ馬鹿でも、愚かでも

「でも、あなたが濡れてしまっているよ」


「あ…」


気付くと肩から背中にかけて少し濡れていた。


そっと彼が私を引き寄せる。


彼との距離が僅か数センチのこの状態に、私の心臓はすぐに忙しくなった。


「ごめんね」


耳元で囁かれた妖艶な声は私の思考を止めようとした。