「もしもし」

『姉さん、俺!!悟だよ!!』
荒々しい息も聞こえる。

「悟!!なんであんなことしたの!!!」

『違うんだ姉さん!!!俺は何もしちゃいないんだ!』

「ならそう警察に言いなさいよ!!」

『アリバイがないんだよ!』

「……」

何も言えなかった。

『ごめん姉さん!!警察が来たから!!』

「っちょっ悟!!!」

電話が切られた。

私の頭の中にはもやもやした何かが渦を巻いているような感じがした。

どうして悟は携帯ではなく家に電話をしたのか。

悟の言うことが真実ならこのニュースは何なのか?
何故あの場所に悟の指紋付きナイフがあったのか?


叶って確か悟が高校のときの仲良かったグループの一人だったはず。これがもし偶然だとしたら殺されたのが叶ってのも偶然。


こんなに偶然が重なるのは不自然ではないだろか。



でもこんなことを言っていると悟が犯人でないと全てが一致しない。なら犯人は……


いやいや、悟がああ行ってるのだものそれを信じるしかない。

私は自分にそう言い聞かせ落ち着くためにコーヒーを飲むことにした。