私は病院を出て、すぐ聖矢に逢いに行った。


『聖矢…… 看護士さんがね、これから私達と亮さんとの戦いだからって言ってた。周りの環境も、周りの笑顔も、全てが亮さんの生きる支えになるようにしなきゃいけない……。』


私はしばらく、聖矢の胸で泣いていた。でも、泣いてばかりはいられないよね…… 亮さんの心に光りが差し込むまでは…。


『聖矢、俺の女は…!?』


俺の女は…!?って、亮さんに突然襲ってくる記憶喪失……

聖矢は毅然とした態度で、亮さんに話しかけた。


『兄貴、彼女なんていたのか!?』


聖矢はとっさに惚けて見せた……


『お前に逢わせた事あるだろ!?超〜いい女。』


『そうだったかなぁ…… 忘れてた!!ちょっと前に会ったかなぁ。確かにいい女だったかも。』


聖矢は亮さんの話しに合わせていった……


『だろ〜〜!!それよりお前の彼女は!?』


私の事まで急に忘れてしまうなんて、この病気をなめてはダメだと実感した。


『美優奈だよッ!!何回も会ってるだろ……。』


亮さんは私の顔を見て………


『あッ!!思い出した…… 俺の女にソックリさんだったなッ。アハハハハ……。』


亮さんは、彼女さんが亡くなってしまった事の記憶すら失いかけていた。