僕は君のことはよく知らないが、今日はイスラエル人のイサクが日本に漫画を学びに留学してきたものの、お金が全くなくなったので、じっと部屋の中にいたという話でもします。

イサクは夕方に目が覚めてから、一日中ビレッジバンガードで購入したファミコンのような機械で熱血硬派くにおくんをして遊んでいた。

このゲームは他校の不良学生と駅のホームでケンカをしたりバイクに乗ったままケンカしたりしながら、最終面では町のやくざと戦ったりするもの。

ピストルVS素手というのが最終局面であったように思う。


で、何度挑戦してもやくざの放つピストルに打ち抜かれるうちに集中力と気力を削がれ、いよいよお腹が空いたイサクは何か食べるものはないかと部屋中を探したが何もない。

ということで、目にとまったのが国語辞典。

これを食べようと思いたった。おかあちゃんごめん。

国を出るときに、おかあちゃんから「これは、イサク、あなたへの投資だから」と、手渡された重たいプレゼントだ。

「ママ、こんな高価なモノを本当にいいのかい?」

「粉に混ぜる水を増やせば、どうってことないよ」

受け取りにくいまま、イサクは、うつむいてしまった。

「イサク、これはもう買ってしまった物で、わたしが持っていても何の価値もないものだ」

顔を上げるとママと目があった。

ママは優しい顔で頑張ってきなさいよと言った。