村の中でもその顔をはっきりと見たものはない。
真赫は幼い頃に顔を火傷したとか、熊に顔をえぐられたとかいう噂も立った。



巫女の力も真星にしかない。



そして双子は忌むべきもの。



故に村人たちは“神が愛した娘”と真星を敬い
真赫は真星の片割れであるがために仕方なく生かしているにすぎない存在であった。



「姉様、顔色がよろしくありません。今日はもうお休みになった方が」



「大丈夫よ、大丈夫」



真星は自分に言い聞かせるように言った。



「…何か良くないことでも御覧になりましたか?」



「そんなことはないの。大丈夫‥」



「そう‥ですか。」



真赫は表情は見えないものの、姉の異変には敏感に気づいているようだ。


「真星、真赫の言うとおり今日はもう休め」





「ですが、儀式が」