「そうじゃ、婆じゃ。わしのような者からみればおまえなどただの粋がっておる小わっぱに過ぎん。」



「クソッ」



葛木は苦々しげに悪態をついた。



「別によいのじゃよ、手当てをしなくとも。
折角ここまで治したがのぅ、そのままにしておけばやがてその左足は朽ち果てるがな」



葛木はギョッと真赫の方を見る



真赫は小さくうなずいてやった



「名も挙げられぬな」



真赫のその一言に葛木は唸った



「…わかったよ。悪かったから傷の手当をしてくれ」



「ほぅ、ようやく素直になったか。お主の様なものでもやはり足が朽ちるのは怖いと見える、やはり人の子よのぅ」



婆様はニタリと笑った。



「…ったく、口の減らねぇばばぁだよ」



葛木が悔しげに言った。