村の者ではないことに気づいた真赫は、嫌なものにあったと顔を背けた。


「…真星。覚えていないか?俺は、ウッ」



小さくうめき男は倒れ込む。



「‥真星を…しっている?」



「…」




そのまま男は気を失った。



困ったことなったと感じた。



聞き間違いならいいが、その可能性はないとは言い切れない。



真星の知り合いなら見捨てるわけにはいかない。


それに真星のことを真星と呼ぶのだから、相当親しい間柄に違いないのだ。



真星のことを真星と呼ぶのはこの村じゃ、ばあ様くらい。



真赫はもう一度男に目をやる。



取りあえずこの血に汚れた男を村まで連れていかなければならない。



村の人間に露呈すれば村はパニックになるだろうから、1人で見つからないようにだ。



真赫は村までの道と洗濯物を見つめ、小さく溜め息をついた。