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それから間もなく女の元に一人の老婆がやってきた。



それは100年は軽く生きていそうなほどしわくちゃな老婆であった。



「真星っ」



見た目通りの嗄れ声を出し女を呼んだ。



その声に呼び起こされたように女は目を開き、滝に打たれることをやめた。



女の名を真星(まぼし)と言った。



彼女は口を開き語り始める。



「祈りは届けられました。去年の流行病はもうないと。」



「そうか‥よくやった。」



「ですが…ですがお婆様、私は何やらとてつもなく悪い物が近づいているような気がしてならないのです。」



真星は続けた。