「なーんか玲、元気ないな今日。」
「……そんなこと、ないよ。」
私は向かい合うようにして座り、小首を傾げながらグラスに注がれた烏龍茶をのむ啓兄に小さく笑って見せた。
が。
その視線も直ぐに逸らし自分の目の前に置かれた水へとそれを落とした。
―――――あれから、先に教室に入った私に遅れること数時間。
3時間目の授業中にやっと登校してきた暁は、教科担任の怒鳴り声や小言は全て無視で。ただ真っ直ぐドアに寄りかかるようにして私を睨むように見据えてきた。
何となく、暁の言いたいことは分かっていたけど。数秒視線を交えただけで直ぐに私から逸らす。
それに次いで、小さくも不満や苛立ちをあからさまに孕ませた舌打ちが静まる教室に響き。
教科担任の暁を呼ぶ声と、廊下を荒々しく歩く音が鬱陶しく耳に入ってくる。


