「照れた?」
「…照れてない。」
「嘘。」
「……、…うざ。」
くるり、踵を返し暁に背を向け通学路を足早に歩く私の後ろから聞こえるクスクスと小さな笑い声。
直ぐに隣へと追い付く足音の主に、チラリ視線を上げ盗み見た横顔。
「(…綺麗、だよなあ。)」
染めてる髪や荒々しい態度などのせいで、皆から距離をとられている暁。
でもその彼が持つ雰囲気は、異彩だと感じる。
惹き付けられる。
この男は関われば関わるほど私の心を覗こうとしてくるだろう。逃げても逃げ切れない、これはまるで追いかけっこ。
危険だと感じた時には、もう遅い。
彼に好意を持たせてしまった時点で、それは自己責任なんだ。
きっとこれは、真っ直ぐ正面から、暁と向き合えということなんだ。
「(……そんなん、)」
逃げるしか、ないじゃんか。
私が暁と、誰かと本当に向き合うなんてことは無理に等しい。


