玲、と名を呼ばれたことで心のどす黒い闇へと浸り始めていた意識は浮上する。
暁は暫く私の顔を無表情で見つめると、また優しく目を細めて笑い呟いた。
「―――俺は、お前の目、好きだけどな。」
そう言う暁の顔があんまりにも優しいから、だ。
頬が赤く染まり、目は宙をさ迷い暁を見ることができない。
……やられた。
こんな台詞、はかれたことなんてないからどう対処すればいいのか分からない。
私の顔を見るなり、目を丸く見開く暁を睨みつけるが多分怖くも何ともないだろう。分かり切ってる。
それでも、睨まずにはいられない。だって強気を保たないと――――――――、嗚呼、ほら。
ニヤリ、意地悪く引き上がる口角。細められた目は挑発的に私を見下ろしてくる。
焦げ茶色の髪は、以外にも柔らかそう。朝日に照らされたそれは赤にしか見えない。


