だって、まだ光や啓兄や三笠さんにはまあまあ明るく接することが出来ているはずだし…。
じゃあ、暁は―――？
思い当たる節は、普通にあった。
「(…あー、アレかな。)」
ロマンスなんてものじゃない、俺様万々歳、自己中極まりない「俺と付き合え」発言。
アレには引いた。マジで引いた。今まで生きてきた中で１番引いた。
と。
「なあ、玲ー。」
「……ああ、なに。」
「は？何今の間。」
「ノープロブレム。」
「……。」
「……。」
微細に眉根を寄せた暁に無表情で返せば、数秒の沈黙が落とされる。
じ、とお互い鋭い目線を絡ませ合う私達の間には異様な空気が漂う。通常の男女には流れるはずのない空気だ。
「ま、いいや。」
「……。」
「で。」
一呼吸置いて見せた暁は、その鋭くも真っ直ぐな双眼を私に下ろし、少し首を傾げた。
「お前んちから出て来た男、誰？」
