「お、呼び捨てだー」と呟きニヤリと笑った暁にお前が昨日呼べって店で叫んだからだろと言いたくなったが、そこは溜め息で我慢。


また叫ばれでもしたら近所迷惑だし、あの後店長に何故か私が怒られたんだから。



暁を無視しつつ、学校までの通学路を足早に歩く私の隣に、奴は平然と並んでくる。


早歩きが意味を成さないなんてまさか。



私がいくら歩いても(最早小走りに近いが)暁はその長い脚を駆使して、直ぐに隣へと舞い戻って来るのだ。


無言で続けられるこのやり取りに、怠いなと思い始めた頃。

不意に暁がその歩を止めるから、私も反射的に足を止め振り返ってしまった。




「…どうしたの。」

そう問い掛ける声は、可愛さの欠片もないほどツンとしたもので。


自分でもこれでいいとか思ってたけど、さすがに女らしからぬ声音は見直さないといけないかもしれない。