ああ、甘いな。
啓兄の淹れるカフェオレはいつだって甘い。
―――啓兄は、私より3つ上の大学生の兄。
血は……半分、繋がっている。良く似ている目は父譲りだろう。
「……啓兄、」
「ん?」
「……やっぱ何でもない。」
「……そ。」
「…うん。」
啓兄はきっと、私が聞きたいことが何なのか分かってる。だから、そんなに深く眉間にしわを寄せるんだと思う。
酷く不機嫌そうに、そして、激しく軽蔑仕切ったように目を細めて。
まるで、私もその目をしている気分だ。なんせ、似ているから。
顔はあまり似ていない。だが、目は似すぎているほど似ている。
「…父さん、元気かな。」
「……俺らには、もう関係ねえんだ。口に出すな玲。」
ゆっくりと、戒めるような口調で喋る啓兄。
俺、じゃなくて俺゙ら゙といってくれてる内は、まだ私は見離されていないらしい。


