黙々とおにぎりの補充を続けていた―――――――…その時。
「どーも。」
「………は…?」
そんな声と共に顔の両脇から伸びてきたそれが、私の身動きを封じた。
耳元で囁かれた吐息混じりの低い声には聞き覚えがあって。嫌な予感が一気に背中を駆け上がり、私は警戒心を深めた。
誰、なんて見なくても分かる時点で私の脳にこの男は鮮明に刻まれていたらしい。
「営業妨害ですか。何か御用ですか。」
「別に?」
「離れていただけますかものすっごい鬱陶しいんですけど。」
「拒否するわ。」
声色からこの男が今ニヤニヤと意地悪く変態な笑みを浮かべているだろうことは安易に想像できた。
学校でたった1日の内の5分ほど話しただけなのに、ここまで人を軽蔑したのは初めてだ。


