あの様子じゃ、立ち読みで全部読み切ってしまうつもりだろう。つまり購入はしない。
……さて、暇だ。
新たなお客が来る様子もない。今居るあの人たちがレジに並ぶ様子もないし…。
「品だしして来ます。」
「はーい。」
三笠さんの間延びした返事はだらけていて気が抜けそうになる。負けないと自分自身に言い聞かしペシッと頬を叩いた。
小さなピリッとした痛みが脳を活性化させて丁度良い感じだ。
おにぎりの補充を始めた私の耳に届く、来客を知らせる軽やかなメロディー。
手を止めることなく「いらっしゃいませー」と言った声は気怠げ。
これが愛想ないと言われる原因でもあるんだろうなあー…。ま、どうでもいいや。


