ディア・ロマンス





口元から笑みを消すことなく、謝罪の言葉を棒読みで繰り返す三笠さん。何だこの人、滅茶苦茶殴りたいんだけど。

いいかな?いいんじゃない?いいでしょ。



「貴方の顔面、痣出来ても誰も悲しみませんよね。」

「ちょっと、今のは駄目…!俺のハートが!つかまず俺の両親に謝りなさいッ!」

「そっちから喧嘩売ってきたんですから、知りませんよ。」



少ししゅんっとした顔で謝る三笠さんとのこんなやり取りは日常茶飯事。正直、疲れるけどこれがお決まりなのだ。


詩織と光も可笑しいと思ったけで、この人も可笑しい人だと思う。



私みたいな暗い人種の人間に、シフトが同じというだけでこんなに構ってくる。

案外物好きって世の中には多いらしい…。


振り上げて見せていた握りしめた拳をゆっくり下ろし解く。