詩織は水泳部、光はバスケ部だから帰宅する時は当然ながら一人になる。

朝彼女たちがいたのは二人とも寝坊したらしい。


一旦帰宅した私はラフな服装に着替え家を出た。春になったがやはり夜はまだ寒い。

徒歩で10分ほど歩き、薄暗くなってきた外とは対照的に遠目にぼんやり光っているそれは酷く孤立して見える。



と。


「れーいちゃん。」

「…なんだ、三笠さんか。」


なんだとはなんだと頬を膨らませる(気持ち悪い)のは、バイト先の先輩、三笠さんである。



…そう、私は今バイトに向かっているのだ。とは言ってももう目的地には着いた。


「今日もシフト同じなんですか。」

「そうだよ、…って、ナニその嫌そうな顔。」

「嫌そうじゃなくて嫌なんです。」

「ちょっと、今お兄さん傷ついたよ!?」