「まったく。」
「れ、玲ー…。」
私じゃなくて詩織が泣きそうになってるから、飲みかけだけどペットボトルを差し出せば全部飲まれた。え。
恨めしげに詩織を見つめるがその視線はまったくの無視。
「玲って、本当、不思議だよね。」
不思議?と詩織の言葉を反復させる私。目の前の彼女はミルクティー色の顔にかかった髪を後ろへ払いながら頷く。
「だって、普通怖いよ。」
「んー…。怖いっていうか、すかした奴だとは思うけど。」
「そう思えるとこが不思議。」
「そう?だって、相手を知らないのに怖いも良い人も分からないよ。まあ、あいつがろくでもない奴ってことは分かった。」
そう言いまた笑って見せた私に、詩織は溜息で返事をした。


