「れーい!」


水を勢い良く喉に流し込んでいた私の名前を呼び小走りで駆け寄る詩織へと視線を送る。

その顔は明らかに動揺していて、朝と一緒だと思った。




ペットボトルの水はもう半分以上減っていて、お腹の辺りにそれを感じる。

……水、飲み過ぎた。



「どうしたの。」

「どうしたのじゃないよ、何で加島くん相手にあんな…!」

「別に、…腹が立ったからじゃいけない?」

「いけないとかじゃなくて、」



口ごもる詩織を見て、心配してくれていることはよく分かる。申し訳なく思う。

でも、あの男に平伏すつもりも言いなりになって付き合うつもりも私にはこれっぽっちもない。



「…怖くないの?」


加島くんが、と付け足す詩織に私は少し笑う。