「……なんで。」

「あ?」

「何であんたは、私と付き合いたいわけ?私、あんたのことなにも…」

「ストップ。」



加島くんは私の言葉を遮ると、片手で頬杖をついて顎を乗せた。


「お前は、付き合うのに理由がいるわけ?」

「は?」


逆に質問返しに遭い、もう相手にするのが面倒になってきた私だが。加島くんはやれやれとでも言いたげに息を吐きだす。




「相手を知ってからとか言ってるけど、そんなんただの言い訳なんだよ。」

「…、」

「付き合ってみなきゃ分からねえのに、どうやって相手を知るんだ。時間共有しようが、結果的に知れるのは相手の表面上だけでそいつの芯になんか触れられねえんだよ。」

「…、」

「そんな面倒なこと、俺はごめんだ。」