「灰原さん、重いでしょ?持つよ。」
「あ、佐藤さん。あっありがとうございます。」

灰原さんは委員長なのでよく先生から頼みごとをされます。
その度に手伝ってくれるのが佐藤さんです。
や~、いい男ですね。
ですが、いい男に付き物なのが・・・

「何よ。あの女!」
「ちょっと佐藤くんが優しいからって調子に乗りすぎよ!」
「佐藤くんの価値が下がる!」

いじわるなお姉様・・・じゃなかった、いじわるな女達。
努力もしない他人の悪口しか言えない人達です。
でも、こういう人って絶対彼氏居るよね~。なんて平等な世界。

そして、いじわるな女達は灰原さんを呼び出しました。
灰原さんは呼び出された訳をなんとなく分かりました。

「アンタさ、一応言っとくけど、」
「佐藤くんの特別とか思ってない?」
「そ、そんなことは・・・」
「じゃ、もう佐藤くんに近づかないで。」
「アンタと居ると佐藤くんの価値が下がるの!」
「・・・分かってる?」
「・・・・・・うん」

そんなこと一番よく分かっているのは灰原さんです。
灰原さんは下を向いて涙をこらえます。

「ふん。」
「無駄な時間だったわ。」
「行こ行こ」

いじわるな女達は下を向いている灰原さんを見て満足したのか立ち去りました。
灰原さんはその場から動けなくて5時間め授業をサボってしまいました。
灰原さんの頭の中は優しい佐藤くんで占めています。

「ッ・・・さ、佐藤さん」

灰原さんの綺麗な瞳から涙の滴が落ちました。