そこで待っていたのは赤澤でした。
赤澤は吉備団子社の社員の一人です。
彼がスパイだったのです。

「赤澤、よくも裏切ってくれたな!」
赤澤と中が良かった犬飼はブチキレています。

「裏切ったなんて酷いな~。」
赤澤はいつもみたいな笑顔で言った。

「このッッッッ!」
その態度が犬飼は気に入りませんでした。

桃井さんは手を上げて犬飼を止めました。
「光!コイツを許していいのか!!?」
「涼?私が会社で言った言葉覚えてる?」
「・・・光」

犬飼は桃井さんの気持ちが分かりました。
「赤澤。」
「ん?」
「お前はここが居場所なんだな?」
「んー、そうだね。」
「じゃあ、ここにいろ。・・・でも戻りたくなったらいつでも戻って来てね?」

赤澤は桃井さんがそんな事を言うとは思っていなかったのでびっくりして無言のままです。

「へぇー?心が広いんだね?君。」
面白そうにニヤニヤしながら見ていた嫌味な男、大鬼が言います。

「そんな事はどうでもいい。私達が何しに此処にはるばる来たのかもう解っているよね?」
「んー、皆目検討つきませんね。」
「お前のような若造にはまだまだ早い話だったか。それは失礼した。どうやら私はお前を買いかぶっていたようだ。」
「・・・君、少しムカつくね。」
「お前もな。」

どっちも一歩も引かない無言の戦い。
先に動いたのは大鬼だった。

「ふふふ。君、面白いね。分かった分かった。俺の負けだ。」
「それはどういうことかしら。」
「惚れた。」
「は?」
「君に惚れた。よく言うだろ。惚れた弱みってね?」

桃井さんもこれにはびっくりです。
そして一番びっくりしているのは勿論犬飼です。

「はぁ?何言ってるんだお前は!コイツはな馬鹿力だし、男っぽいし、大食なんだぞ!そんな女の何処がいいんだ!」

犬飼は大鬼に桃井さんを諦めてもらうので必死です。
それもそうですね。相手は未来有望のセレブですからね。
でも、自分で墓穴を掘っていることに気付いていません。