「林檎。」
「っ!?・・・な、なに?」
林檎ちゃんはビクビクしながらお母さんの方を向きます。
林檎ちゃんなりに負い目を感じているのでしょ。
本当は家族思いの優しい子なのです。
「・・・ちょっと、お母さんの昔話に付き合ってくれる?」
「へ?」
林檎ちゃんは怒られると思っていたので拍子抜けしてしまいます。
だけど、お母さんはいつもの林檎ちゃんの大好きな優しいお母さんのままです。林檎ちゃんは無意識に頷いてしまいました。
「ありがとう。」
「・・・・・・」
***
「これはね、まだ私が中学生の時だった頃の話ーーーー
私は中二の時、妊娠したの・・・
当時付き合っていた彼との間に産まれた子供だってすぐ分かったわ。
すぐに彼に報告したわ。
彼なら分かってくれる。
あの優しい人なら『生んでいいよ』って言ってくれると思っていたの。
でも現実はそんなに甘くなかった。
彼は言ったわ『なんて事してくれたんだ』ってね。
その時、私は思ったの。
彼に遊ばれてたんだって。
それからは毎日地獄。
すぐに私が妊娠したって噂で流れ、
彼は『おろせ』と毎日言ってくる。
両親にも言えず、
ずっと孤独だった、